つい先日、知り合いの法人役員さんより下記のような相談を受けました。
家を建てて夏頃に引っ越しするんだけど、今の自宅マンションは貸した方がいい?それとも売った方がいい?
なかなか判断の難しい選択ですよね。
さて、今回はそんな持ち家から持ち家への住み替えの場合、現自宅を賃貸するべきか、それとも売却すべきかについて見ていきましょう。
自宅を賃貸するケース
持ち家から持ち家に住み替える場合、まず一つ目としての選択肢は現自宅を賃貸するという方法。
多くの方の頭に思い浮かぶであろうメリットとして、毎月の家賃収入が入るから嬉しいというのがあるんじゃないでしょうか。
もちろん家賃収入が入って、本業の収入とは別の収入となるので、これを家計の足しにしたりお小遣いにしたりと夢は広がりますよね。
それでは、自宅を賃貸する場合のメリット・デメリットはどんなものがあるんでしょうか。
自宅賃貸のメリット
- 毎月家賃収入が入る
- 本業の収入とは別の収入が生まれる
- 不動産賃貸業として経費をつけることで節税対策にもつながる
- 他人(入居者)が家賃で自分のローン分を払ってくれる(という考え方ができる)
- 将来、その家に戻るという選択肢が残される
やっぱりメリットとして一番大きいのは、賃料収入が入ることですね。
自宅賃貸のデメリット
賃貸のメリットは上記の通り。
一方自宅を貸すことのデメリット、リスクはどんなことがあるか見てみましょう。
- 入居者が退去して家賃収入がゼロとなるリスク
- 両方ともローンで購入している場合、ローンの2重払いが発生する可能性有
- 経費が何もかからず不動産賃貸業が黒字の場合、税金が高くなる
- 建物や設備などの劣化で修繕や設備交換費用が発生する
- 地震や火災などの天災でダメージを受けるリスク
- 家賃が築年数とともに減少する
- 入居者との人的トラブル発生のリスク
- 将来売却したくても入居者付きの状態だと利回り
家賃収入は魅力だけど、結構賃貸ってリスクがあるんだな・・・
多くの人が「賃貸」がいいって言うけど、金銭的なリスク・管理面のリスク・天災リスクなんかを常に抱えることになるんですね・・・
不動産を賃貸をするということは、不動産賃貸業を経営するということ。経営にはリスクも付き物なんです。
自宅を売却するケース
もう一つの選択肢としては自宅を売却するという方法もよく選ばれる場合が多いです。
ここでは、不要になった自宅を売却するメリットとデメリットを紹介します。
自宅売却のメリット
- 売ってしまえば、そこで縁切りできるので後々のトラブルがない※1
- ローンの残債が無い場合、多額の現金が手に入る
- ローンの残債が有る場合、売却金額で残債を完済できる※2
※1 引き渡し後に瑕疵が発見された場合など、瑕疵担保責任を追及される可能性は有
※2 残債以下で売却した場合は完済に自己資金を投入しなければならない場合も有
自宅売却の大きなメリットの一つに、縁切りして賃貸のように常にリスクにさらされる必要がないことが挙げられます。
自宅売却のデメリット
- 思ったより売却額が安くなってしまう場合も
- 将来その家に戻りたくても他人のものになるので戻れない
- 売却金額は手に入るものの、家賃収入は手に入らない
金銭的なデメリットは、相場で取引される不動産なので仕方ないとしても、賃貸のような恒常的なリスクがなく、精神的に楽なのが売却の特徴ですね。
賃貸する場合に気を付けるべきこと
自宅を賃貸するケース、売却するケース、それぞれのメリット・デメリットを紹介させてもらいました。
自宅を賃貸する場合、この一点は要注意事項なので、頭に入れておいてください。
賃貸したまま売却する場合のリスク
将来売却をしたいと考えたときに、万が一賃貸されている状態(入居者付き)で売却をすると、それは居住用物件としてでなく事業用物件(収益物件・収益不動産)としての価格設定になってしまう可能性があります。
入居者付きとなると不動産賃貸業をする方、不動産投資家の方がメインターゲットになります。
収益物件・収益不動産の価格設定は「収益還元法」と言われる方法で算定します。
その不動産から生み出される収入をどの程度の期間で回収できるか、つまり利回りからの逆算で売却価格が算定されるようになります。
収益物件・収益不動産は、物件価格が安くならないと利回りが高くならないので、居住用の不動産の価格設定に比べてシビアな価格設定になりがち。
つまり、賃貸したままの状態で不動産を売却しようとすると、売却価格が安くなってしまう可能性を含んでいます。
売却するために入居者に退去してもらおうと思っても、日本の法律では借主有利の法律となっており、簡単に退去させることはできません。
骨の折れる交渉と、退去・引っ越し費用の負担などをしなければ退去してもらうことができないなんてことも往々にしてあります。
相場で売れるようにしたいから入居者が退去するまで待ってみても、入居者はいつ退去してくれるかわからないですし、特にファミリー物件の場合長く住みがちなので、待てども待てども退去せず売り時を逃してしまうなんて可能性もあったりするんです・・・
売却したくてもできない状況が生まれるケースもあるので、自宅を賃貸した場合の売却にはご注意ください。
最後に
今回は持ち家から持ち家に住み替えた場合、古い方の持ち家を売却するべきか、それとも賃貸するべきかについて紹介させてもらいました。
賃貸は、家賃収入が入るという大きな利点がある一方、様々なリスクを保有している期間中ずっと抱えることとなります。
逆に売却の場合は、家賃収入は入りませんが売却時点で保有・賃貸することで生じるリスクとさようならできるという利点があります。
あえて言うならば
- リスクを抱えてでも、毎月の家賃収入に魅力を感じる方は賃貸
- リスクは負わず、売却して精神的にすっきりしたい方は売却
このように選べばいいと思います。
でも、売却にしても賃貸にしても同じ不動産取引には変わりませんので、変な不動産業者に依頼してしまうと、不必要なトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
いずれの場合でも、不動産業者の見極めは大事なので、信頼できる不動産業者に依頼しましょうね。